すうがくぶんか社・梅崎さんのご講演体験談

 

数学カフェ講演体験談

初めまして。第31回の整数論と幾何学をつなぐ橋で講演させていただいた梅崎直也と申します。講演者の立場での体験談を書く機会をいただきましたので、簡単に一年前を思い出しながらご紹介させていただきます。

講演の経緯

2019年に開催されたマスパーティーというイベント内のロマンティック数学ナイトプライムゼータという企画で自分の博士論文に関連した講演をしました。(講演の動画はこちら、講演のスライドはこちらでご覧いただけます。)それをご覧になった数学カフェ主催の根上さんから数学カフェでの講演をご依頼いただいたのですが、いきなりこの話だと話す側としても難しいだろうと思い、予備知識的に数論幾何の入り口として類体論やWeil予想に関連した内容について「整数論と幾何学をつなぐ橋」というタイトルでお話しさせていただきました。最初にお願いされたD論の話はまだしてないのですが、いずれお話しさせていただきたいです。

講演について

自分がプロの数学者でないことに甘えて、いわゆる一般向けの話ではなく自分の好きな話をみっちりとお話しさせてもらいました。講演時間が2日間合計10時間と長かったので、自分でも疲れて最後の方は何やってるかよくわからなくなってしまいましたが、聞いてる方はもっと大変だったと思います。長時間でかなり難しい内容だったと思いますが、最後までたくさんの方に聞いていただけて非常にありがたいです。このような大変な企画を許容してくれる数学カフェさんの懐の広さにも感謝します。

オンラインイベントについて

数学カフェで初めてのオンライン講演でしたが、僕自身も当時はまだオンライン講演に慣れていませんでした。そのため、普段の講演や授業などで何気ないことでも聞いてる人の反応を気にしていたのだという発見がありました。とはいえ、たくさん質問などいただくことができて非常にありがたかったです。この点については、数学カフェさんの様々な配慮の行き届いた運営のおかげです。気になったこととして板書の共有があまりスムーズにできていなかったことがあるので、これが改善されるとよいと思いました(注)。休憩時間にspacial chatを使って雑談なども含めて話せたのは、実際にオフラインの会場でやるときと似たような感じがしてよかったです。最近になって自分の講演のアーカイブを見たのですが、このように簡単に記録を残せて復習などがしやすいのはオンラインのよさですね。

これまでの関わり

数学カフェに初めて参加したのは第16回圏論の時で、それ以降も何回か参加しています。講演会だけでなく予習会でも何回か発表させてもらいました。専門家の方のご講演を聞くことや予習会で発表することで、いろいろ数学を勉強することができました。このような貴重な機会を作っていただいたことに感謝します。今後も様々な活動を楽しみにしていますし、私もまた講演できるように頑張ります。

数学カフェ参加者の方へ

聴講するだけでなく、講演者としても参加できるというのが数学カフェのよいところだと感じます。講演者が数学者の方ばかりだと思うとハードルが高くなってしまうのですが、数学者ではない僕でも講演させていただいたということで、今後もたくさんの方の講演が聞けるといいなと勝手ながら思っています。予習会も企画されているので、まずはそこから話をしてみるのがいいかもしれないですね。僕自身もこれまで予習会で話してたくさん勉強する機会をいただきましたし、今後もチャンスがあればお話しさせていただきます。

私について

株式会社すうがくぶんかで主に大人向けに数学や統計学を教えています。入門的な内容から専門的な内容まで幅広く数学やその周辺分野を共に学ぶ機会を作っていきます。また、Youtubeのチャンネルで数学の動画を公開しています。それ以外にも私の活動をこちらで紹介していますので、よろしければご覧ください。

 


編集部より

梅崎さん、ご講演者の側からのご感想をありがとうございました。
オンラインでのイベントに慣れておらず、それまでと同様のスケジュールのとても疲れてしまう日程を組んでしまい申し訳ありません。初めてのオンライン講演で様々なことが手探りの中、快く講演を引き受けていただきありがとうございました!オフラインでみんなの顔が見えるからこそ乗り越えられることの良さを感じる一方でご遠方からのご参加もあり、オンライン講演の良さも感じることができた会でしたが、梅崎さんのご協力とチャレンジに心から感謝申し上げます。

内容は非常に重厚でしたし、D論にたどり着くのはまだまだ遥か先ですが、だからこそ専門性に対する敬意も生まれるのかな…と思います。講演の知識そのものの伝達だけではなく、専門を身につけることの重さも伝えていただいたと思います。

数学カフェは、大学教員以外の形で数学と関わり続けている方も発表できる場所を作りたいと考えていますが、今回のご寄稿でその良さについても書いて頂きありがとうございます。

お忙しい中のご寄稿誠にありがとうございました。また次回のご講演も(落ち着かれた頃に)どうぞよろしくお願いいたします。講演企画の際にはとてもワクワクする概要をお話していただきましたので、参加者の皆様もどうぞお楽しみに。

注:現在はオンラインホワイトボードの同期を活用するなどの方法でノートを即時共有する体制にしています。

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