第35回数学カフェの講演ノートを公開します.
講演者:川村花道さん
数学カフェは研究者と市民双方向の交流ができる場所でありたいと考えており、年齢・所属組織などに囚われず発信する機会を大切にしたいと思っています。ハンドルネームでの講演は誰にでも開かれた科学コミュニケーションの機会の創造に寄与すると考えます。(講演時はハンドルネームでの講演でした。)
講演者の推薦文を共同研究者でもある青山学院大学 理工学部 物理・数理学科 助教
関 真一朗さんに寄稿していただきました。
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講演者はわずか1、 2年の間に多重ゼータ値に関する重要論文を次々に読みこなしており、 そのスピードと知識量は専門家である私も舌を巻くレベルです。 このように十代にして既に当該分野に関する造詣が深い講演者ですが、複数の数学イベントで登壇経験があり、 その躍動感溢れるトークによって聴衆に数学の魅力をダイレクトに伝える話術も持ち合わせています。 以上から講演者は数学カフェ講師として相応しい人物であります。
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川村花道さんは2018年にも数学カフェにて講演をしていただきました。
数学カフェ ζ 関数回
https://connpass.com/event/75469/
https://connpass.com/event/75475/
https://connpass.com/event/75476/
講演者2名で3日間の集中的な講演をして頂くという非常に意欲的な取り組みでした。
今回は、前回の講演内容に関連するさらに上位のトピックについてお話していただきます。
講演概要
多重ゼータ値は、素朴な多重級数で定義される実数でありながら、数論幾何や結び目理論、数理物理などに顔を出す素晴らしい対象として活発に研究されています。
その豊かな世界を基盤として、十年ほど前に金子昌信氏と Don Zagier 氏の両名は「有限/対称多重ゼータ値」という世界を作り出しました。これらは多重ゼータ値そのものに負けず劣らず不思議な事実をたくさん含んでおり、非常に興味深い対象です。
今回は、その定義からはじめて、歴史を追う形で基本的な定理から最近の研究まで幅広くご紹介いたします。時間が許せば、「p進有限/t進対称多重ゼータ値」という更なる一般化についても触れようと思います。
参考文献
有限/対称多重ゼータ値
http://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~tasaka/ss2018/5.pdf
http://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~tasaka/ss2018/7.pdf
その準備&モチベ付のために多重ゼータ値について
http://www.ist.aichi-pu.ac.jp/~tasaka/ss2018/1.pdf
イベントは終了しています。
第35回数学カフェ申し込みサイト:概要などが記載されています。
講演ノート
※ファイルのロードに多少のお時間をいただきます。