第14回数学カフェ(圏論)

場所:東大駒場キャンパス

概要

第14回の数学カフェ、今回のテーマは「圏論」です!

おかげさまで、数学カフェも14回を迎えることが出来ました!

多くの方にご参加いただき、大変感謝しております。

本会は、多様性・個性を尊重することを掲げて開催しておりますが、 今回は試験的に女性参加枠を別途設けてみました。 (女性のかた、一般枠で申し込んでくださっても大丈夫です!)

男性女性、年齢問わず、ぜひぜひご参加くださいませ!

発表内容

メイン講演者1

杵渕朋彦さん「型と圏」

この発表ではプログラミング言語で重要な役割を果たす「型システム」と圏論との関係を解説します. 圏論は知っているがプログラミングのことは知らない人, あるいは, プログラムは書けるし型も分かるが圏論は分からない人の両方に向けて, 圏論もしくはプログラミングの立場からもう一方を理解できるような解説をします. プログラミング言語の例としてHaskellを利用し, ソースコードをまじえながらどちらの立場の人にも分かるよう構成します.

参考文献
[1] TAPL
[2] https://en.wikibooks.org/wiki/Haskell/Category_theory
[3] http://www.staff.city.ac.uk/~ross/papers/Applicative.html

メイン講演者2

s.t さん (twitterID: simizt22)

「関手の微積分とその応用」

ホモトピー論で現れる calculus of functor に関する話をしたい。
calculus of functor は Thomas Goodwillie [1, 2, 3] が安定ホモトピー論において開発したホモトピー関手に対する Goodwillie Calculus に端を発する。 非安定ホモトピー論においても の方法の類似として、ベクトル空間の圏から位相空間の圏への関手に対しての Orthogonal Calculus を Weiss[4] が定義している。
関手の解析において、関手に対し関数の微分および Taylor 展開のアナロジーを考えるが、 Taylor 展開の方は特に Goodwillie-Taylor tower(resp. Weiss tower) と呼ばれる。 これらの手法は例えば、多様体の埋め込みのなす空間を解析するのに応用される。
今回は Goodwillie calculus を通して
体$k$上の形式的冪級数環$k[[x]]$ ↔ 位相空間の弱ホモトピー型のなす圏(これは smash 積および wedge 和により環構造が入っている)
という対応関係を見るか、また、Weiss calculus を用いて
一般化された Stiefel-Whitney class(および Pontrjagin class)がある関手の 1-st(resp. 2nd) derivative として表される
のどちらかを話したいと思う。(できるところまで)
(実際の埋め込みのなす空間への応用の話は後日の復習会で話そうかなぁ)

ref:
[1] Goodwillie, Thomas G. “Calculus I: The first derivative of pseudoisotopy theory.” K-theory 4.1 (1990): 1-27.
[2] Goodwillie, Thomas G. “Calculus II: analytic functors.” K-theory 5.4 (1991): 295-332.
[3] Goodwillie, Thomas G. “Calculus III: Taylor series.” Geometry & Topology 7.2 (2003): 645-711.
[4] Weiss, Michael. “Orthogonal calculus.” Transactions of the American Mathematical Society 347.10 (1995): 3743-3796.

メイン講演者3

松森至宏さん「圏論の基礎」

前半に基本的な圏の概念(圏の定義、関手の定義、自然変換の定義、表現可能関手、米田の補題)の説明をし、後半はそれらの例としてfunctor of pointsの考え方を紹介しようと思います。

参考文献:
http://www.maths.ed.ac.uk/~aar/papers/eisenbudharris.pdf

メイン講演者4

根上春「Fatgraphと圏」

今回の講演では、場の量子論から構造生物学まで応用されるファットグラフに着目し、ファットグラフ(注1)の研究において圏の概念がどのように活用されているのかを解説します。特に、2004年に Igusa [1] によって提唱されたファットグラフの圏について紹介します。

後半では、ファットグラフの構造生物学への応用について概説し、圏の応用の可能性について思いを馳せてみたいと思います。

注1:
ファットグラフはリボングラフとも呼ばれています。いわゆるグラフ理論で扱われるグラフ(頂点の集合と、頂点同士を結ぶ辺の集合)において、1つの頂点に連結した辺に巡回順序を定めたものです。

[1] Kiyoshi Igusa, “Graph cohomology and Kontsevich cycles.”, Topology, 43(6), 1469-1510, (2004).

スケジュール

時間 内容 発表者
13:00 – 13:05 5 開始挨拶 根上春
13:05 – 15:05 120(途中休憩あり) 圏論の基礎 松森至宏
15:15 – 15:45 30 Fatgraphと圏 根上春
15:50 – 16:50 60 関手の微積分とその応用 s.t さん (twitterID: simizt22)
17:00 – 19:00 120(途中休憩あり) 型と圏 杵渕朋彦

※時間、順番等は変わる可能性がございます。

会場について

会場の詳細については別途、申し込み時に登録いただくメールアドレス宛に送付します。そのため登録時にメールアドレスをお忘れないようご記入をお願いします。

参加費

飲み物、お菓子代、講師交通費として実費1000円をいただきます。 (講師が遠方から新幹線にて来て下さるためです。)

二次会について

会の終了後に懇親会を行います。参加ご希望の方は受付時に参加表明をお願いします!

数学カフェ Facebookページ

https://www.facebook.com/mathcafejapan

活動報告

【第14回数学カフェ】【活動報告】

昨日は約70名の方が集まり、圏論回を実施致しました。

松森さんによる圏論の基礎の講演では、この回で圏論をマスターしたいという意欲あふれる方々から、次々と活発な質問が飛び交いました。

また、杵渕さんによる型と圏の講演では、圏とはなにか、というところから丁寧にはじめ質疑の時間を十分にとっていただき、様々な背景を持つ参加者の方々からの質問を通じて理解がどんどんと深まっていきました。

スライドはこちらです:http://www.slideshare.net/KinebuchiTomo/haskell-63665717

時間の都合上、関手の微積分、ファットグラフの圏については概要のみの駆け足の発表となってしまいました。

楽しみにしてくださった方は大変申し訳ありません。

関手の微積分についての追加講演を後日行う予定ですので、引き続きこちらの案内をご覧くださいますと幸いです。

参加者の皆様、今後ももっともっといい会にしたく思いますのでご意見、ご感想をぜひお聞かせ下さいませ。

こちらのサイトの、メッセージなどでお寄せください!

どうぞ今後共よろしくお願い申し上げます。

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