【第31回 数学カフェ】整数論と幾何学をつなぐ橋

初のオンライン開催です!

申し込みサイトはこちら

https://mathcafe-japan.connpass.com/event/178472/

実施概要

今回のテーマは、『整数論と幾何学をつなぐ橋』です。

株式会社すうがくぶんかの梅崎直也先生をお招きし、ご講演していただきます。

日時

  • 6月20日 14時から18時
  • 6月21日10時-12時、13-17時

一時間ごとに15分休憩をはさみます

前日にZoomとウェブホワイトボードの参加用リンクを配布します。 下の方に時間ごとの詳しい内容が記載されています。ご都合の良い時間だけご参加していただいても大丈夫です。

前日19時から20時まで、当日13時半から14時まで操作確認タイムを設けますのでどうぞご参加くださいませ。

昼の交流会

ランチ休憩の際にZoomを使って交流会をしようと思っています。お好きなお食事をご用意の上ご参加ください!申し込まれた方ならどなたでもご参加できます。

アブストラクト

André Weilは哲学者である彼の妹Simone Weilに宛てた手紙[1]で数学的発見における類似の役割について説明しました。そこでは、類似の例として代数的整数論と Riemann 面や代数関数の理論を紹介し、有限体の上の代数曲線の理論がこの二つの理論の間の架け橋となることを述べ、またこの三つの世界の関係を「ロゼッタストーン」になぞらえています。今回の講演では有限体の上の代数曲線やその高次元化である代数多様体が主役です。整数論や有限体上の代数幾何学における重要な問題である類体論とWeil予想の二つを題材に、整数論と幾何学のつながりについてお話します。特に層やコホモロジーは現代数学における基本的な道具ですが、今回は整数論や有限体上の代数幾何学に層やコホモロジーがどのように関わるかをお伝えします。類体論というのは、例えば奇素数$p$が整数$x$, $y$を用いて$p=x^2+y^2$と表される条件が$p\equiv1 \pmod{4}$であることや、素数$p$, $q$に対する方程式$x^2\equiv p \pmod{q}$の解の存在についての平方剰余の相互法則のような現象を扱う理論です。類体論は有限体上の代数曲線についても同じく存在し、$\zeta$関数や$L$関数の性質とも深く関わるものです。今回の講演ではこれらを紹介し、またRiemann面の理論との関わりや類体論自体の幾何学的な理解についてお話しします。

Weil予想とは有限体上の代数多様体の合同ゼータ関数についての予想です。合同ゼータ関数は多様体の点の個数についての母関数として定まるもので、Riemannの$\zeta$関数の有限体上の代数多様体における類似とみなすことができます。合同ゼータ関数についてもRiemannの$\zeta$関数と同様な関数等式、零点や極の位置についての性質などがWeilにより予想され、有限体上の代数曲線の場合にはWeil自身により解決されました。高次元の場合については、GrothendieckやDeligneによってスキームとエタール層のコホモロジーを用いて証明されました。特に零点についてのRiemann予想もその類似が合同ゼータ関数についても証明されています。今回の講演では、証明における層やコホモロジーの役割についてお話しします。

講師ご紹介

ご講演者:梅崎直也先生

ご専門:数論幾何

株式会社すうがくぶんか:もっと社会に数学を、を理念として、主に社会人向けに様々な数学講座を開催しています。現代数学の基礎など様々なトピックを扱っている。

予備知識

当日特に説明しないこと

  • 有限体
  • ガロア理論

雰囲気を知っておくといいこと

  • 可換環とイデアル
  • 曲面のオイラー数
  • p進数

参考資料や動画

ガロア理論と有限体について

p進数について

類体論について

Weil予想について

スケジュール

土曜日

  • 14時:ゼータ関数と関数等式
    整数論や数論幾何に現れるゼータ関数のうち、今回の講演で中心的な役割を果たすものを紹介します。これらのゼータ関数が持つ性質としてオイラー積と関数等式について紹介します。
  • 15時:局所体と分岐
    整数論や幾何において、局所と大域という視点は一つの重要な手がかりです。特に、整数論における局所的性質を調べるため、局所体という概念を紹介します。また、局所的な不変量として分岐について紹介します。
  • 16時:局所類体論
    局所体のアーベル拡大を記述するのが局所類体論です。今回の講演のテーマのうちの一つである類体論の局所的な記述を与えます。これについて、どのような主張であるか、また証明の方針について簡単に紹介します。
  • 17時:アデールとイデール
    整数論において局所と大域を繋ぐための道具がアデールやイデールと呼ばれるものです。上で紹介した局所体をまとめ、大域的な情報を引出します。これらの性質が整数論の基本的で重要な結果である類数や単数の有限性とどう関わるかを紹介します。

日曜日

  • 10時:複素代数曲線(リーマン面)
    複素代数曲線(あるいはコンパクトリーマン面)の基本的な理論について紹介します。特に、代数曲線の不変量である種数や因子に関する公式としてリーマンロッホの定理やフルヴィッツ公式を紹介します。
  • 11時:局所と大域
    整数論や曲線の幾何において、大域的な不変量であるオイラー数と局所的な不変量である分岐の結びつきについて紹介します。また、ゼータ関数についても局所と大域という視点を紹介します。
  • 13時:類体論
    今回の講演のテーマの一つが類体論です。有理数体や代数体、あるいは有限体上の曲線について、そのアーベルな拡大の情報をイデールと結び付けて理解する理論が大域類体論です。ここまで準備した内容が類体論とどう関係するか、またその証明について簡単に紹介します。
  • 14時:ヴェイユ予想
    今回の講演のもう一つのテーマであるヴェイユ予想について、まずはそれがどのような問題であるのかを紹介します。有限体上の代数多様体のゼータ関数を紹介し、ヴェイユ予想がどのような主張であるかを説明します。また、このゼータ関数の性質が素朴な現象とどのように関わるかについてもお話しします。
  • 15時:エタール層1
    ヴェイユ予想の証明に使われた道具がエタール層とエタールコホモロジーの理論です。ここではこれらの理論の基本的な枠組みを紹介します。また、ガロア理論との関係についてもお話しします。
  • 16時:エタール層2
    ヴェイユ予想のうち、ゼータ関数の有理性と関数等式の証明の部分について、エタール層の理論がどのように関係するのかをお話ししたいと思います。

参考文献

[1] André Weil, A 1940 Letter of André Weil on Analogy in Mathematics, Translated by Martin H. Krieger, Notices of AMS 52 (2005) 334 ‒ 341,

https://ams.org/notices/200503/fea-weil.pdf.

[2] 加藤和也, 黒川信重, 斎藤毅, 数論 I Fermat の夢と類体論, 岩波書店.

[3] Pierre Deligne, Cohomologie Etale, Séminaire de Géométrie Algébrique du Bois-Marie SGA 4 1/2,

Lecture Notes in Math., vol. 569, Springer-Verlag, Berlin, 1977.

[4] Pierre Deligne, La conjecture de Weil : II, Publ. Math. IHES, 52 (1980), 137-252, http://www.numdam.org/item/PMIHES_1980__52__137_0/.

[5] 三枝洋一, エタールコホモロジーと ℓ 進表現, http://www4.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ss2009proceeding/SummerSchool-0201-2.pdf.

数学カフェについて

2015年3月より東京にて開催。

数学の諸分野の最先端を誰でも学べる場を作りたいと考え、月に1回、およそ6時間の講演会を開催しています。

https://www.facebook.com/mathcafejapan/

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