皆様はじめまして。数学カフェに数回参加した児玉と申します。現在都内の大学に通っている数学科の修士2年で、次の春からは進学する予定です。
今回は数学カフェに初めて参加した動機と、その会に参加した結果得られたものについてお話します。どうしても自身のことを多く語ることになりますが、誰かの後押しになればいいなと思います。
数学カフェ参加の動機
私が初めて参加したのは第29回「幾何学的群論と怪物的な無限群」でした。当時の私は修士1年生で、幾何学的群論の基礎の基礎を必死に勉強している頃でした。数学カフェの活動そのものは一切知らず、たまたまTwitterで開催のお知らせが流れてきたものを見つけて驚いた記憶があります。幾何学の中でも比較的マイナーなこの分野を、市民向けに講演するとは、なんとチャレンジングなのだろうと。ご存じの方も多いかも知れませんが、数学科の修士課程では、大体1年生の秋冬頃から修士論文のテーマをつらつらと考え始める場合が多いです。実際私自身もそうでしたので、なにか得られるものがあればと思い、参加を即決しました。
会に参加して得られたもの
結論から言うと、修士論文のテーマを得ました。
第29回の講演ではトンプソン群と呼ばれる群が紹介されました。お話を聞いている中で、どうやらこの群はとても面白いということがわかりました。面白そうだで幾何学を始め、面白そうだで幾何学的群論を学び始めた私にとって、面白そうという直感はテーマとするのに十分な理由でした。時は過ぎ先日、トンプソン群周りの話題で無事修士論文を書き上げることができました。数学カフェの活動がなければ私はこのテーマに巡り合わなかったでしょう。これは、数学カフェが私にとって「最先端の数学に触れることが出来る場所」だったおかげです。
これからの講演も、きっと分野の偏りなく様々な最先端に触れられることを目指していくと思います。それらの講演の中で心の琴線に触れる分野に出会い、よしもっとやってみるかとなっていただきたいです。ご興味のある方は是非参加してみてください。
編集部より
この度、数学カフェに参加したことがきっかけで研究テーマが決まり、修士論文を完成させたとのこと、心から嬉しく思っています!おめでとうございます。
世界でも研究している人が少ないという分野で自らの手で新しい世界を開拓しているという喜びも研究の醍醐味の1つだと思います。数学カフェは、今まさに若い研究者たちが生み出している新しい(故に知る人が少ないこともある)数学をご紹介したいというのも活動の動機の1つです。その1つの素敵な成果が、児玉さんの修論です。人口の少ない分野で打ち込める対象を見つけるのも難しかったと思うのですが、ぜひこれからも楽しんでくださいね。(そしていつかぜひ数学カフェでご講演してください!)
よろしくお願いいたします!