くまもと数学秋まつり TA体験談
木下刻史（熊本大学大学院修士1年）
1.参加の動機
指導教官である松原先生から「熊本で数学のイベントが開かれるのですがTAをやっていただけませんか。」とお誘いを受けたことがきっかけです。私自身、今まで大学以外で数学に触れるイベ ントに参加したことがなく、「そのようなイベントがあるのか」と、とても興味が湧いたので参加させていただきました。
2.ワークショップにはどのような参加者がいたか
幅広い年齢層の方に参加していただけました。私は参加する前までは、ワークショップの参加者は若い人が多いものだと思っていましたが、予想に反し、高齢の方も興味を持って参加していただき、数学に興味を持っている方が多いということがわかり、とても嬉しい気持ちになりまし た。
3.参加者の様子はどのようなものだったか
内容としては、ワークショップや講演会・プレゼン大会がありました。ワークショップでは折り 紙やシートサイクル、数学ゲームであるゴドマチや陣目取を行いました。中でも、陣目取は特に人 気でした。陣目取とは二人対戦のゲームで互いに交互に形が線対称になるように陣地を広げていき、一番大きな陣地ができていた方の勝ちという数学ゲームです。驚いたことが、小学生には少 し難しいかと思いましたが、すぐにルールを理解して、考えながら楽しくゲームをしていたことです。私自身も様々な人と何度も対戦し、このゲームの奥深さや参加者の思考力に圧倒され、とても楽しいひと時でした。参加者からは「このような頭を使う数学の遊びを知れてよかった。」などの声も上がったり終了間近まで、夢中で遊んでいる子がいたりと、大人気のゲームでした。体験 後には陣目取やゴドマチが家でも遊べるようにお土産としてボードを渡したところ、とても喜ばれました。折り紙ワークショップでは、様々な形を作りましたが、ひと目見ただけで、こちらが教えずとも作り方を理解した子供もおり、終始驚かされました。参加する前までは、折り紙はただの紙の遊びだと思っていましたが、立派な数学の世界であるということに気付かされました。 プレゼン大会では、タカタ先生のお笑い算数ショーを初めとして、熊本県民によるプレゼンテーション大会が行われました。タカタ先生のお笑い算数ショーは数学の魅力を楽しく伝えることが とても上手く、小学生に大人気だっただけでなく、通りすがりの方も興味を持って聞いてくださりました。大人から子供まで楽しめるプレゼンとなっており、学ぶことが多く、貴重な経験にな りました。熊本県民によるプレゼンテーション大会では、小学生も目を輝かせながら自分の興味 分野について語ってくださりました。数学に対する興味が凄まじく、私よりも色々知っているのではないかと思うほどで、とても刺激を受けました。発表者の皆様はとても発表が聞きやすく、誰にでも理解できるような説明をしており、私も人前で発表する際に見習う点が多かったです。 また、二日目には、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所准教授である池祐一先生による トポロジカルデータ解析の講演をしていただきました。こちらの公演はオンラインでも配信され ており、講演途中にも様々な質問が飛び交い、講演の最後の質問タイムでは、現地、オンラインから共に多くの質問をいただき、途中で一旦質問タイムを終了するほどでした。講演は、難しい 数式は極力使わずに、最先端のデータサイエンスの理論研究を紹介していただきました。難しい数 式を使わずにわかりやすい説明をしていただいたおかげで、講演には幅広い年齢層の方が出席して いましたが、全員が理解しやすい講演だったと感じました。とても面白い講演だった為、トポロジカルデータ解析についてもっと学んでみようと思いました。全体を通して、幅広い年齢層の方々が数学に興味を持って参加していただき、参加者同士の交流もあり数学の魅力や数学が年齢の壁を超えて愛されていることを再認識できる良い環境だったと感じました。私自身も研究分野と異 なる数学の話をたくさん聞くことができ、数学への興味がより一層深まるとともに、もっと勉強してみようと思いました。
4.自分のキャリアにどう活かせそうか
私は同じ研究室の同期がおらず、一人で勉強することが多かったため、今回のイベントのような 様々な人と数学の話をできる環境はとてもありがたく、「自分の研究分野以外にもこんな面白い 数学があるんだ」と話を聞いて感じたり、参加者の強い数学への興味から良い刺激を受け、こち らとしても学ぶことが多く、とても楽しい時間でした。自分自身の数学の研究では、思うように 勉強が進まず、結果が出なくて悩むことも多かったですが、今回の体験を通し、数学の楽しさを 再認識することができ、より一層研究活動を頑張ろうと思いました。本当に参加してよかったで す。貴重な体験をさせていただき、誠にありがとうございました。
