場所:東大駒場キャンパス
概要
第16回の数学カフェ、今回のテーマは「圏論2」です!
大好評の圏論回1に引き続き、 圏論が数学にどのように使われているかを学びます。
今回初参加という方も大歓迎ですので ぜひぜひご参加くださいませ。
(なお、別途予習回も設けていますので、ご興味ある方はfacebookページやtwitterにてお声かけ下さいませ。)
講師の方の自己紹介
今回は、数学者の方、数学科の院生の方をお呼びしています。 お2人ともご専門の知識が深いだけでなく、わかりやすく伝えることにも力を入れていらっしゃいます!
ぴあのんさんより
ぴあのん(@piano2683)です。数学科の修士課程で圏論的モデル理論の研究をしています。Twitterではもっぱら圏論クラスタと認識されているような気がしますが、興味がある対象はあくまでロジック(モデル理論)に出てくる公理系の性質やらモデルやらです。でも、なぜか普段は圏論ばかりやる羽目になっています。
研究活動以外では、数理の翼夏季セミナーや関西すうがく徒のつどいなどのアウトリーチ活動にいろいろと手を出しています。今回もその活動の一環として、数学に興味のあるみなさんに圏論の楽しさを知っていただければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
のらんぶるさんより
こんにちは.私は,数論幾何という分野で研究している数学者です.数論幾何とは,整数などの性質を,広い意味で幾何学的なアイディアに基づいて調べる学問です.その必要不可欠な道具として圏論が至る所に登場するので,圏論の専門家というわけではない私も,日常的に圏に触れる生活を送っています.今回はユーザーの立場から,数論幾何における圏,とくにトポスの応用の一側面をご紹介します.「紹介するの?あぁ,しょうかい」などとツレナイことを言わず,一緒に圏論と数論幾何の世界を覗いてみてください.(Twitter: @nolimbre ではダジャレおじさんとして活動?しています.)
発表内容
ぴあのんさんご講演
この講義では、数学における圏論の機能に焦点を当てます。前半では、圏論における各種の普遍性やそれに関連する圏・函手の性質の使われ方を紹介し、抽象的な構造を扱う“言語としての圏論”の側面を見ます。一方後半では、圏論の中でもトポスと呼ばれる特別な圏のクラスを例にとって、言語としての役割を超える圏論の魅力について伝えたいと思います。
前提知識としては、前回の数学カフェ圏論回における松森さんの講義に出てきた定義(圏・函手・自然変換・極限)程度は仮定してお話いたします。 https://t.co/iSZAdSIhJ6
のらんぶるさんご講演
圏論が有効に用いられる局面の一例として,Weil 予想と p-進コホモロジーを紹介します.元々の Weil 予想は,圏論に直接関係する主張というわけではありませんが,その解決には圏論が有効に用いられます.講演では,まず Weil 予想を初等的に説明できる範囲で紹介したのち,圏論(特にトポスの理論)との関わりを説明します.そして,具体的なトポスとして p-進コホモロジーに用いられるトポスを紹介する予定です.
講演全体を通して,数学的に厳密な議論を通じて理解を進めていくような場面は少なく,基本的には大雑把なアイディアを概観する形をとることになります.これを通じて数論幾何は楽しそうだとか,圏論の威力は凄いとか思ってもらうことが狙いです.また,話の性質上,圏論以外の数学的対象がいろいろと登場します(たとえば有限体やコホモロジーなど……)が,これらは予備知識として仮定するのではなく,知らなくてもできるだけ雰囲気が伝わるようにお話ししたいと思っています.
スケジュール
時間 | 内容 | |
---|---|---|
13:00 – 13:05 | 5 | 開始挨拶 |
13:05 – 14:05 | 60 | ぴあのんさん ご講演① 「普遍性とその応用」 |
14:15 – 15:50 | 95 | ぴあのんさん ご講演② 「トポスに見る圏論の可能性」 |
16:00 – 16:50 | 50 | のらんぶるさん ご講演① 「Weil 予想」 |
17:00 – 17:50 | 50 | のらんぶるさん ご講演② 「Weil 予想とトポス」 |
18:00 – 19:00 | 60 | のらんぶるさん ご講演③ 「p-進コホモロジーとクリスタル」 |
会場について
会場の詳細については別途、申し込み時に登録いただくメールアドレス宛に送付します。そのため登録時にメールアドレスをお忘れないようご記入をお願いします。
参加費
飲み物、お菓子代として実費1000円をいただきます。 講師の方がご遠方より来てくださっているため、交通費に充てさせていただきます。
二次会について
会の終了後に懇親会を行います。 参加ご希望の方は質問項目にご記載をお願いします!
数学カフェ Facebookページ
https://www.facebook.com/mathcafejapan
数学カフェ Twitter
ID:@mathcafe_japan
ハッシュタグ:#math_cafe
注意事項
※内容・タイトルなどは参加者の皆様のニーズに合わせて多少の変更の可能性がございます。
※お申し込みの方には、ご登録後参加者アンケートをお送りし、ご出身の学科や基礎知識の有無、講師へのご希望を伺います。
内容をより良いものにさせていただくためのアンケートですので、よろしければご協力くださいませ。
活動報告
【第16回数学カフェ】【圏論2】
昨日、60名を越える方のご参加を頂き、数学カフェ圏論2を終えることが出来ました。
およそ7時間におよぶ長丁場(加えて午前中には予習回をしている)でしたが、参加者の皆様、講演者の方々、天候の悪い中お越し下さり、本当に有難うございました。
以下、内容の簡単なご報告と参考資料をご紹介致します。
前半
ぴあのんさん(TwitterID: piano2683)さんによる「数学における圏論の機能」
圏論における重要な概念である普遍性が数学においてどのように登場するのか詳細にご説明いただいたあと、概念の架け橋として圏論が強力なツールであることをモデル理論・トポスを用いてお話頂きました。
最後には、ぴあのんさんの研究の今後の展望をお話いただき、数学者の研究が普段どのようにして行われるのか聴講者の皆さんにも実感していただきました。
圏論を用いた壮大な世界の広がりを実感していただけたことと思います。
講演者オススメの参考文献はこちらです。
- 圏論に興味のある方全般:
http://www.math.jhu.edu/~eriehl/727/context.pdf - ↑これはまもなく出版予定:
https://www.amazon.co.jp/Category-Theory…/dp/048680903X - 後半のトポス理論や分類トポスの話の入門:
Mac Lane & Moerdijk, Sheaves in Geometry and Logic
https://www.amazon.co.jp/Sheaves-Geometry…/dp/0387977104
pointless topologyの話もこれに多少書いてあります
とのこと。さらなる詳細:
- Johnstone, Sketches of an Elephant
- Caramelloの論文や概説記事 http://www.oliviacaramello.com/…/ToposTheoreticPrelimin…
が主な参考文献です。
後半
のらんぶるさん(twitterID: nolimbre)さんによるご講演。
初学者にもわかりやすく、導入は体(「からだ」ではなく「たい」と読む)の基礎の基礎のところから豊富な具体例とともに丁寧にお話頂きつつ、Weil予想(イントロ)やp進コホモロジー、クリスタリンコホモロジーといったとても高度なお話までしていただきました。
$p$進数という、実数や複素数とは異なる数の世界、しかし実数と類似した議論が行える世界のなかには、微分を使わずに微分を表現するという手法があり、それは一体何のために必要なのか?
複素数の世界のどういった現象からの類似として考案されたのか?など詳しく詳しくお話をしていただきました。
このような議論の最中で、圏やトポスが大活躍している様子も知ることができました。
終始ユーモアの絶えないご講演で、疲れの見える後半も、疲れを感じず、とっても楽しくお話を伺うことが出来ました!!!
講演者のオススメの文献はこちらです。
- 実演したソースコード(sagemath):
http://climbi.com/b/8006/0
http://climbi.com/b/8007/0 - 代数幾何の知識が必要ですが,無限小・クリスタルトポスの基本文献:
Grothendieck, “Crystals and the De Rham cohomology of schemes”, in Dix exposés, 1968 - クリスタルコホモロジーにフォーカスして読みやすく書いてあるもの:
Berthelot, Ogus “Notes on crystalline cohomology”, 1978.
また,Stack Project にもクリスタルコホモロジーの章があります - Weil予想自体についてもっと知りたい人:
Monsky, “p-adic analysis and zeta functions”, 1970 がお薦め.
前半のような計算はありませんが,Weil予想の正確な命題やp-進的議論など分かりやすいです - あと、のらんぶるさんが開発された、折りたためる数学書はこちら:
https://i3vi3.github.io/elastic-text/sample.html
昨日夕方から先程(9.27の14時頃)まで、一部、異なる文献が混ざっておりました。
お詫び申し上げます。
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twitterでは、ハッシュタグ#mathcafegoryにて参加者の方が様々なご感想や実況を書いてくださっています。こちらもどうぞご覧くださいませ。
次回は11月13日、特に数論の一分野のご講演を頂く予定で調整しております。
また、非公式ですが10月29日には数理生物学の講演を行う予定です。こちらもどうぞご参加くださいませ。
最後になりましたが、素晴らしいご講演をしてくださったぴあのんさん、のらんぶるさん、熱意をもってご参加くださった皆様、講演のお手伝いをしてくださった皆様、本当に有難うございました!!!
おつかれさまでした!